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「シュレディンガーの猫」の答えは?イラストでわかりやすく解説!【思考実験】

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シュレディンガーの猫は、「『50%の確率で毒ガスが出る装置』と『猫』が入った箱がある。猫は箱を開けるまで、死んだ状態と生きている状態の両方の性質をもって存在するか・否か」という内容で「コペンハーゲン解釈」について考える物理の思考実験です。この記事では、シュレディンガーの猫のについてわかりやすく解説していきます。

シュレディンガーの猫とは?

シュレディンガーの猫とは、オーストリアの物理学者であるエルヴィン・シュレディンガーが、「量子力学は未完成の状態である」ということを指摘する際に提唱した、箱に入った猫の生死から量子学を考える思考実験です。

よく「蓋を開けてみるまで答えはわからない」状態の例えとして使用されることが多いですが、もともとは量子学の説明に使用されていました。

この記事では、シュレディンガーの猫についてわかりやすく解説していきます。

シュレディンガーによる猫の思考実験

シュレディンガーの猫は、以下のような思考実験です。

思考実験「シュレディンガーの猫」

箱の中に、「1時間以内に50%の確率で崩壊する放射性原子」と「放射性原子の崩壊を感知すると毒ガスを出す装置」をいれます。
簡単に言えば、「放射性原子が崩壊するかしないかによって、50%の確率で毒ガスが出る箱」ということです。

さらに、この箱の中に「猫」をいれ、1時間後に箱の中を確認します。

もしも一時間後に箱の中身を見たとき、放射性原子が崩壊していたら、毒ガスが発生して猫は死んでしまいます。
しかし、放射性原子が崩壊していなかった場合、猫は普通に生きているでしょう。

いずれにしろ、1時間後に箱の中の猫を観測するまでは、猫の生死がどのような状態なのか断定することはできません。

言い換えれば、箱の中の猫は、生死を観測されるまで、生きている状態と死んでいる状態が重なった状態で存在するのです。

シュレディンガーの猫の本来のの目的と答え

最近では、「実際に見てみるまで二つの可能性が同時に存在すること」の哲学的な例えとして、シュレディンガーの猫が使用されることが多いですね。

しかし、この思考実験の本来の目的と答えは、違うところにあります。

この思考実験は「猫が生きている状態と死んでいる状態で重なって存在するのはおかしい」ということを考えさせるために提唱されたのです。

それでは、実際にはどのような思考実験なのか、詳しく紹介します。

シュレディンガーの猫の答えは「おかしい」ことが重要

シュレディンガーは、当時の量子学の考え方の矛盾を指摘するために、この思考実験を例に挙げました。

量子とは、目には見えない小さな物質やエネルギーの単位のことです。

こうした、電子顕微鏡でしか確認できないような微小な事柄のことをミクロといいます。
反対に、肉眼で確認できるもの、もしくは銀河などの巨大なスケールのものはマクロといいます。

量子学の説に一つに、、原子は放射線を「放出する状態」と「放出しない状態」が重ね合わさり波のように揺らいで存在していて、観測された瞬間にどちらの状態か決定されるというものがあります。

この考え方をコペンハーゲン解釈といいます。

シュレーディンガーの猫の本題:コペンハーゲン解釈とは

シュレディンガーの猫が提唱される要因になった、量子学の解釈は「コペンハーゲン解釈」といわれています。

この解釈は、「ミクロの世界の物質は、観測されるまで複数の可能性を持って同時に存在している」というものです。
量子学における「ミクロの世界の物質は観測するまでは、物理的な形を持っていないので波のようにゆらいだ動きで存在しているのではないか」という考えを発展させて唱えられました。

大雑把に言うと、観測する前のミクロの物質は様々な状態で複数存在し、観測することでひとつに収束される、という考え方です。

この考えは、1930年ごろに広まりましたが、当時から様々な批判を受けました。
シュレディンガーも、このコペンハーゲン解釈の矛盾を指摘する思考実験を唱えたのです。
それが上記のシュレディンガーの猫です。

シュレディンガーの猫が指摘した矛盾

コペンハーゲン解釈では、原子が複数の状態で存在しています。
つまり、猫の生死を決める「50%の確率で崩壊する放射性原子」は、観測されるまで、崩壊する状態と崩壊しない状態が重なり合って存在しています。

そのため、放射性の崩壊によって生死が決まる「猫」も、生きている状態と死んでいる状態が重なり合って存在することになってしまうのです。

シュレーディンガーの猫において、箱の中の猫の生死は確認するまでわかりません。
しかし、箱の中を見なくても、猫が生きているか死んでいるか、どちらかの状態になっていることは確かです。

観測していないからと言って、猫の生死が重なって存在している、というのは明らかにおかしいですよね。
このような考えから、シュレディンガーはこの思考実験で、コペンハーゲン解釈は問題がある、ということを指摘したかったのです。

まとめ

量子学は、マクロの世界とは異なった動きをする、ミクロの世界のルールを見つけるための学問です。
そのため、有識者の間でも意見が割れやすく、様々な解釈が存在します。
シュレディンガーの猫、また、コペンハーゲン解釈に対しても、それぞれ支持者がおり、だれもが確実に納得できる解答はいまだ見つかっていないのです。