マズローの欲求5段階とは?図や具体例でわかりやすく解説!
マズローの欲求5段階とは、人間の欲求は5つの段階に分類されるという、心理学者のアブラハム・マズローによって提唱された理論です。「人間は自己実現に向かって絶えず成長する」と仮定し、順を追って欲求の段階が上がっていくと考えられています。
記事の目次
マズローの欲求5段階とは
欲求5段階説は、1943年にマズローが発表した「人間の動機づけに関する理論」という論文で提唱されました。
マズローによると、人間の欲求は以下の5段階に階層化され、常に自己実現に向かって成長しているとされています。
- 生理的欲求
- 安全の欲求
- 所属や愛の欲求
- 承認の欲求
- 自己実現の欲求
この説では、人間の欲求は、上記の数字の低いものから順番にあらわれ、その欲求が満たされると次の欲求へ向かう、とされています。
「生理的欲求」が満たされることで、「安全への欲求」があらわれ、そしてそれがみたされると「所属や愛の欲求」があらわれて……
というふうに、順を追って欲求の段階が成長していくのです。
さらに、最後の「自己実現欲求」は以下のように2つの階層に分かれるとされています。
- 1. 超越的でない自己実現欲求
- 2. 超越的な自己実現欲求
そのため、「欲求5段階説」ではなく「欲求6段階説」といわれることもあります。
それでは、一つ一つの欲求がどのようなものなのかさらに詳しく見ていきましょう。
生理的欲求
生理的欲求は、基本的な生命維持に関わる欲求をさします。
- 飲食
- 排泄
- 睡眠
こうしたものが満たされていないと、生命の維持が不可能となるため生き物の欲求の土台となる欲求です。
例えば、睡眠がとれない・食事ができない、といった状況では、「恋人がほしい」「有名になりたい」などの欲求は後回しになりますよね。
こうした、生物が生きるために必要な欲求とも言えます。
安全の欲求
生理的欲求である飢えや睡眠の欲求が満たされることで、安全の欲求があらわれます。
安全の欲求は、安心で安全な生活への欲求のことです。
- 自分の心身の安全
- 法・秩序などの整った社会
- 安定した衣・食・住
この段階では上記のような「安全」を求め、特に幼児段階ではこの安全への欲求が顕著にあらわれます。
安全な場所、国で生活したい、自分を守ってれるものが欲しい、といった防衛的な欲求です。
これも、生命を安定して維持したいという生物の基本的な欲求に近いものですね。
所属や愛の欲求
安全への欲求が満たされ、安心できる生活が送れるようになると、所属や愛の欲求が生じます。
これは、友人や家庭、社会から受け入れられたい、愛されたいという欲求です。
- 孤立したくない
- 友達や同僚などの、コミュニティの一員になりたい
- 恋人や家族が欲しい
友達がいなくても平気だ、という人でも、仕事や家族、趣味のコミュニティ、恋人など、様々なものに自分自身の居場所を求めているものです。
この欲求が満たされないと、孤独感や社会的不安を感じやすくなります。
承認の欲求
所属や愛の欲求が満たされると、承認の欲求があらわれるようになります。
これは、誰かに認められたい・尊敬されたいという他者からの評価に対する欲求と、自分に自信を持ちたいという自己に対する評価への欲求からできています。
他者からの評価に対する欲求は、
- 名誉や地位が欲しい
- 周りから注目されたい
といった名声欲や出世欲が中心で、他人に評価されることで自分自身の地位を確立したい、社会のコミュニティで重要な存在になりたいという気持ちです。
自己に対する評価への欲求は、
- 心
- より優れた技術や能力を身に着けたい
- 自立性を手に入れたい
といった自尊や向上心への欲求で、自己評価を上げることで、自分自身が大切な存在だと実感できるようになります。
順番では、「他者からの評価に対する欲求」が満たされることで「自己に対する評価への欲求」が生じるとされています。
承認の欲求が満たされないと、無気力になりやすかったり、劣等感を感じやすくなったりします。
自己実現の欲求
これまで見てきた4段階の欲求は足りないもの埋めようとするを「欠乏欲求」といわれていますが、5つ目の自己実現の欲求は、「存在欲求」といい、質的に異なった欲求です。
自己実現の欲求とは、自分が潜在的に持っているものを開花させ、自分に適したことをしたい、自分に向いている分野で活躍したいという欲求です。
この欲求には2つの段階があります。
超越的でない自己実現の欲求
冒頭で説明したとおり、自己実現欲求には「超越的でない自己実現欲求」と「超越的な自己実現欲求」の2つがあります。
超越的でない自己実現の欲求は、音楽が好きであれば音楽をつくり、美術家であれば絵をかく、など自分自身の能力や世界観に忠実に、自分に向いていること、好きなことができる自分になり、創作的活動をしたいという欲求です。
つまり、社会や他人から解放され、何にもとらわれることなく、あるがままの自分を実現したいという欲を指します。
この欲が満たされることで、一段階上の、超越的な自己実現欲求が芽生えることもあります。
超越的な自己実現欲求
超越的な自己実現欲求は、非常に興味深い事柄に魅惑され、見返りや損益のことを考えず、自分のことを忘れるほど熱中する、至高体験をしたいという欲求です。
「超越的でない自己実現の欲求」では、「あるがままの自分」を追求したいという欲求でしたが、この「超越的な自己実現欲求」では自分のことも忘れるほど熱中することを追い求める欲求になります、
この領域に達することができるのは人類の2%とされ、至高体験を経験できる人はほとんどいません。
人によって少し異なる欲求段階
欲求5段階は生理的欲求から順を追って成長していく、と説明しましたが、この5段階は人によって順番が異なる場合があります。
よく使用されているピラミッド型の図では、5段階は固定のものというイメージを抱いてしまいますが、5つの欲求の割合や優先順位は人それぞれです。
例えば、友人や家族と縁を切り、なにも頼るものがなくても自己実現を成し遂げたい、という人もいるでしょう。
自己実現や承認への欲求は特に人によって優先順位が異なっいる場合が多いです。
自分や相手の欲求段階を考える
自分自身の欲求段階、または、相手の欲求段階をよく考え、今はどの位置にいるのか、ということを考えることで、自分自身目的が明確になったり、相手が本当に求めていることを察したりすることができます。
自分と向き合うとき、だれかと向き合いたいときなど、マズローの欲求5段階説を活用し自分の求めているもの、相手求めているものを考えてみてはいかがでしょうか。