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「トーン・ポリシング」を解説!冷静に見える論点ずらし?【用語解説】

トーンポリシング
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トーンポリシングとは、発言内容そのものではなく、言葉の選び方や話す態度などに対し意義を唱える行為です。
一見冷静で中立的な指摘に見えますが、内容とは異なる部分を攻撃することで、発言者が本来主張したい内容をうやむやにしてしまうという問題点があります。

トーン・ポリシングとは?

議論の際、発言内容そのものではなく、言葉の選び方や話す態度などに対し意義を唱えることを「トーン・ポリシング」と言います。
トーン・ポリシングは、発言内容とは異なる部分を攻撃することで、発言者が本来主張したい内容をうやむやにしてしまうという問題点があります。

トーン・ポリシングの例
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あなたが道を歩いている時に、周りを見ず走ってきた自転車にぶつかられました。
そこで、あなたは自転車に向かって「気を付けろよ!」と怒鳴ったとします。

この時に、無関係の第三者や加害者本人が「その言葉遣いはないんじゃない?」「もっと穏やかに話せないの?」と言ってきました。

このように、本来の論点をすり替えて、被害者の話し方や態度を批判をする行為が、トーン・ポリシングです。

トーン・ポリシングの問題点

上記の例の場合、真っ先に注意されるべきなのは危険な運転をしている自転車のほうですよね。
確かに言葉遣いはよくありませんが、危険運転により実害を受けた被害者であれば、思わず怒鳴ってしまうこともあるでしょう。

ところが、トーンポリシングによって「自転車の危険運転」から「被害者の言葉遣い」に話の内容が変わってしまうのです。

このように、トーンポリシングは一見冷静で中立的なように見えますが、実際には論点をずらし、話の本質をすり替えているのです。

トーン・ポリシングが日本で広まったきっかけ

トーン・ポリシングという言葉が日本で広まったきっかけのひとつが、2016年に話題となった「保育園落ちた日本死ね!!!」というタイトルのブログです。

このブログは、子どもを持つ主婦の方が書かれたものであり、内容の趣旨は次のようなものでした。

「子どもが保育園に落ちたので、自分は仕事に出られない」
「国は少子化を問題視するわりには保育園を作らずに、オリンピックなどにはたくさんのお金をつぎ込む」
「児童手当も少ない。お金があれば子どもが産めるのに、と思っている家庭はたくさんあるはずだ」

参考サイト:「保育園落ちた日本死ね!!!」:はてな匿名ダイアリー

このように、ブログに書かれている内容自体は、子育て世代であれば直面する可能性の高い問題ばかりです。
しかし、こうした内容が過激な言葉でつづられていたことから、

「怒りたくなる気持ちも分かるが、もっと冷静になるべきだ」
「強い言葉で叫ぶだけでは、誰も相手にしてくれない」
「【死ね】という言葉は言い過ぎだ」

など、待機児童や児童手当に関する批判の意見ではなく、発言者の言葉の選び方や発言姿勢に対する批判的な意見が多く集まりました。
このことをきっかけに、発言の意図から外れた部分(言葉遣いや態度)を攻撃する「トーン・ポリシング」という言葉が広まったのです。

言葉の背景を意識する

先述のブログには、過激な物言いに対して、トーンポリシングをしてくる人が多くいました。
しかし、その過激な物言いによって注目度が増して、待機児童問題にスポットが当たるようになったのです。

しかし、もしブログが大人しい文面だったら、ここまでの注目を集め、待機児童の問題が話題に上がることはなかったでしょう。
立場の弱い人やマイノリティの声は、共感を得にくいため、なかなか重要視されません。
「なぜそこまで強い言葉を使っているのか」という背景にも目を向ける必要があります。

もちろん、どんな主張であれ、誹謗中傷になるほどの強い言葉や誰かの人格批判を行っていいわけではありません。
過度な暴言は、主張している意見とは別の問題として注意されるべきではあります。

しかし、冷静に言葉の内容に注目をして、「この人は一体、どんなことを言いたいのだろうか?」と、発言の真意を探ることも大切です。