「ビュリダンのロバ」とは ?合理的な人ほど選べない?【わかりやすく解説】
「ビュリダンのロバ」は、フランスの哲学者ジャン・ビュリダンが「選択」の難しさを表すために使用されたとされるたとえ話です。
利益や損得を考えすぎると選択できなくなってしまうため、自らの自由意志が必要であると問いたと考えられています。
この記事では、ビュリダンのロバの内容をわかりやすく紹介していきます。
記事の目次
ビュリダンのロバとは?どんな内容?
「ビュリダンのロバ」は、フランスの哲学者ジャン・ビュリダンが理性・理論による選択の難しさを表すために使用されたとされています。
出典は明らかではありませんが、現在でも自由意志による選択の重要さを考える際に用いられる寓話です。
思考実験「ビュリダンのロバ」
お腹を空かせたロバが、2つに分かれた道の真ん中に立っています。
両方の道の先には、同じ量で同じ質の干し草があります。どちらを選んでも、干草までの距離は同じです。
ロバは非常に合理的で賢いロバでしたが、悩みに悩んだ末、どちらの道も選ぶことができず、そのまま餓死してしまいました。
一体なぜなのでしょう?
「なんて頭の悪いロバだろう」「そんな馬鹿なことがあるか」、と思う方も多いかもしれません。
この思考実験は「合理性のみを考えて選択することはとても難しい」ということをたとえ話としてわかりやすく極端に表現したものです。
それでは、なぜロバがどちらの道も選べなかったのかを詳しく見ていきましょう。
ビュリダンのロバを解説!「選択の壁」とは?
ロバは以下のどちらかの道を選択することを迫られていました。
- 右の道に進み干草を食べる
- 左の道に進み干草を食べる
干し草の量や質は全く同じなので、どちらの道を選んでも、選んだ先で得られるものに差はありません。
しかし、どちらかを選んだことで「別の方を選んだ方が良かったのではないか…」という後悔や不安が残ります。
このように選択によっておこる後悔などの苦しみ・痛みを「選択の壁」といい、ビュリダンのロバでは選択の壁を超えることの難しさを説いているのです。
選択肢のそれぞれのメリットとデメリットが拮抗しているほど、選択の壁は大きくなります。
分かれ道に立ったロバは、とても賢いため左右の道を選んだ際の損得を考えて進む道を選ぼうとしました。
しかし、どちらも得られる干し草は同じであり、どちらの道を選んでも同じだけの後悔に悩まされることになってしまいます。
その結果、ロバは選択の壁を越え、道を選んで餌を得るという主体的な選択ができず、どちらの道も選ばず餓死するという消極的な選択をすることになった、ということです。
日常の選択の壁
ビュリダンのロバのように、現実の私たちにも選択することが難しい場面に直面することは多々あります。
例えば、お店で気になる服が2着があり、どちらを買うかなかなか決まらず結局何も買わずに帰った、なんて経験はありませんか?
どちらの服を選ぶかという選択の壁に悩まされ、何も得られず帰宅するという消極的な結果になってしまうのです。
このように現実の様々な場面で選択の壁は生じています。
「ビュリダンのロバ」になりやすい人とは?
何かを決定するのが苦手な優柔不断な人、つまりビュリダンのロバになりやすい人というのは、現実でも多くいます。
そのような人たちは、分析力や理解力に長けているとも考えられます。
物事の様々な面からのメリットデメリットを読み取れてしまい、決断することの難しさを人より大きく感じているのです。
ビュリダンのロバのような人たちは、現状を冷静に分析したり、他人の考えを推敲することは得意なのですが、自分で決断することは不得意です。
そのため、決断を先送りにしたり、他人に決断を任せてしまい
「ビュリダンのロバ」に必要なもの
ビュリダンのロバのように、理性的で過度に合理性や損得を重視してしまう人は、結果として必要以上に「選択の壁」に悩まされることになります。
そうした場面で必要になるのが「自分の自由意志」です。
選択から逃げずに、時には直感的に自分自身でよいと思ったほうを決める、そんな自由意志が人間が何かを選択するときに非常に重要になってきます。
自分で決定するということは、自分自身でリスクを背負い、責任を持つということ。
それらを受け入れ、考える「意志の力」を備えることが、より良い選択につながるのです。