「モラトリアム」の意味をわかりやすく解説!【用語解説】

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モラトリアム(moratorium)とは、「一時停止」や「執行猶予期間」を意味する言葉です。
金融・政治などの分野でも使用されますが、この記事では心理学用語としての「モラトリアム」を紹介します。

モラトリアムの意味

モラトリアム(moratorium)とは、「政府による一時停止」を意味する言葉です。
大規模な災害や大恐慌、戦争など、国民の経済状況が大ダメージを受ける状況下で、借金の返済期限を延長する対策のことを意味する経済用語として使用されます。

一方、心理学の用語としてのモラトリアムは、「人が成人して、社会人として働くまでの猶予期」を指し、モラトリアム期間とも呼ばれます。

この記事では、心理学用語としてのモラトリアムの意味について解説していきます。

モラトリアムは大人になる準備期間

心理学用語としてのモラトリアムは、心理学者エリク・H・エリクソンによって提唱され、「人が、大人として社会に出るまでの猶予期間」を表します。
この猶予期間は「モラトリアム期間」とも呼ばれ、自分という人間を知り、大人として社会に適応していくための準備期間として位置づけられています。

モラトリアムに該当する年齢は人によってそれぞれですが、子供から大人への移行期間で、現代では10代後半から20代前半の青年期の人たちが該当します。
モラトリアムの期間に厳密な制限はないものの、多くの人が大学に進学するようになった日本では、大学や大学院に通っている間のことを指すのが一般的です。

モラトリアム期間は、ただ学校に通って勉強や研究だけをする期間ではありません。
「自分はどんな人間なのか?」を把握して、今後の進路を定めたり、社会人としての仕事や責任に耐えられるように備える時間でもあるのです。

「自分は何者なのか?」を模索する時期

前述通り、モラトリアム期間は、社会へと羽ばたくための準備期間です。
モラトリアム期間中は、社会人として通用するための知識や技能を吸収し、「自分とはどのような人間なのか?」を考える期間でもあります。
いわば、「社会に適応するための自分探し」の時間なのです。

自分探しが終わらない?モラトリアム人間とは

自分の将来へ向けて、前向きに取り組む時期を表すモラトリアムですが、最近ではネガティブな意味でも頻繁に使われるようになりました。

大人への準備期間としてを終えても、社会に属することを拒む、自分が興味のあることがわからない……
そんな大人になり切れない人を「モラトリアム人間」と表現することがあります。

例えば、社会人に相当する年齢で心身が健康なのにもかかわらず「やりたいことが見つからない」などと言いながら、人生の決断を先延ばしにしている人。
また、めでたく就職をしても、「自分のやりたいこととは違う」などとすぐに辞めてしまい、将来のビジョンを描かないまま職場を転々とする人。

こうした傾向のある人を、モラトリアム人間と呼びます。
簡単にいうと、「心が子どものまま、体と年齢だけが大人になってしまった人」です。

モラトリアムは必要な期間?

日本では「モラトリアム人間」など否定的な意味でとらえられることが多いですが、モラトリアムは自分を成長させる大切な時期です。

最近では、SNSなどで世界中の様々なライフスタイルを目にすることができるようになりました。
それにより、他人と自分を比較しすぎてしまい「自分はこれでいいのだろうか」と、疑問を抱きモラトリアムが長引いてしまったり、大人でもモラトリアム期間に戻ってしまう人も少なくありません。

モラトリアムそのものは、人間にとって必要な期間です。
いかにモラトリアムの期間を自分自身にに活かせるか、正しくモラトリアムを脱することができるか、という点が重要になります。